約束
 軽い言葉に顔を上げる。木原君の後ろから髪の毛を肩の辺りまで伸ばした子が覗き込むように立っていた。

 舞い上がっていた心が一気に我に返る。自分でも驚くほど、冷静に彼女を見ていた。

「どうして晴実が?」

 晴実と木原君は顔を合わせて苦笑いを浮かべていた。その様子は今までの二人から想像できないほど親しげに見えた。


学校でそんなに話をしていることはなかったのに。そこまで考えて、胸が痛んだ。親友と木原君が話をしているのに傷ついてどうするんだろう。
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