約束
 同居をすることを聞かされ、戸惑い、彼の家族のことを知り、彼を好きになり、といろんなことがあった。そして、私達は今でも一緒にいる。

 夢を見ている彼にとって、私とのことは後回しになるかもしれない。

 でも、時間がかかってもいい。いつか百合たちのような結末にたどり着くことができるのだろうか。

 人生の一区切りとして……。

 私の少し先を歩いていた木原君の足が止まっていたのに気付いた。

「どうかしたの?」

 私は彼に追いつき、顔を覗き込む。彼は頬を赤く染め、何かを考え込んでいるようだった。
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