約束
「仕事で遅くなるんだってさ。なんだかいろいろ大変みたいで。だから木原君だけ先に来たって。すぐに荷物を運べるようにするために」


 いろいろ考えてくれていたのだろう。だが、私の家は姉と母がばっちり準備をしてしまっており、木原君が以前着たときに運ばれていた荷物も撤去され、今すぐにでも荷物を運べる状態になっていた。

姉に至っては今朝も掃除機をかけるくらいの手の入れようだ。そのことを晴実に言うと、彼女は苦笑いを浮かべていた。

「すごいね。そんなに歓迎されているんだ」

「お父さんもお母さんもあんな性格だし。姉は何を考えているのか分からないけど、木原君のことは歓迎しているみたい」
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