約束
「手伝う間でもなさそうだね」

 晴実は私と目が合うと苦笑いを浮かべていた。

 これだと一時間も経たないうちに終わってしまいそうだった。

「後は俺がするから、気にしないで」


 彼はそういうと、頭を軽く下げる。

 そのとき、晴実が肘をつく。彼女はあごをしゃくり、木原君を見つめていた。彼女が何を言おうとしているのかに気づき、喉から声を絞り出した。


「よかったら手伝っていい?」

「悪いからいいよ。気にしないで」

「そのパソコンを運んだら?」
< 60 / 546 >

この作品をシェア

pagetop