約束
 音が聞こえなくなるのを待って、木原君の部屋を覗いていた。


そこにはもう机や棚が組み立てられていた。

廊下沿いの壁には真新しいベッドもある。その全てが新品だと彼から聞いた。

前使っていた家具はお父さんたちの引っ越し先のほうに送るそうだ。


 机の上にパソコンを置く。手伝うというよりは預かっておくだけになってしまったけど。

 そのとき、風が入ってきて、私の頬を掠めていく。

 水色のカーテンの隙間から覗く見慣れた町並みを見つめていた。

 今日からここが彼の部屋になるんだ。そう思うと、胸の奥がくすぐったい。

 入り口で物音が聞こえた。そこにはダンボールを抱えた彼の姿がある。

 彼はそれを部屋の入り口に置く。

そこにはダンボールが数箱重ねてあった。そして、それが彼の荷物なのだろう。

彼は机の上にあるパソコンを見ると、目を細めていた。


「手伝ってくれてありがとう」

「何も役に立ってないけど」

 彼は「そんなことないよ」と言い、首を横に振る。

「お姉さんが呼んでいたよ。リビングに行こうか」
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