約束

 今日、一日の自分を思い出し、顔が赤くなるのが分かった。


その上、部屋ものぞいたりとかしてしまった。

変な人で、嫌な人のような気がするし、自分がされたらこの上なく傷つくだろう。

 自分のことに精一杯で木原君にあまり思いやれていなかった気がする。気をつけないといけない。

「これから二年くらい一緒に過ごすんだからいい加減慣れなさいね」

 姉は洗面所に消えていく。姉の姿を見り、そっと息を吐いた。

 話、か。

 何を話せばいいんだろう。この前だって話をするのに勇気がいった。彼と話す言葉は晴実と話すときに比べて、二十倍くらいエネルギーが必要な気がする。

 二階に戻ると、木原君の部屋の扉は閉まっていた。

 何をしているんだろう。普段の彼を見て見たい。でも、さすがに部屋の前に突っ立っているのを姉に見られるといろいろ困るので部屋に戻ることにした。

 ベッドに腰を下ろす。見ることのできない隣の部屋を眺めながら、少しでも、これからの日々で木原くんのことを知ることができればいいな…。

 その日は部屋から出ることなく、寝入ることにした。廊下をうろつき、木原君と顔を合わせたら困るからだ。
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