約束
「木原君が由佳に用があるんだって」
「木原雅哉だったかな。学年は同じらしいけど、知っている?」
ほぼ同時に違う声で同じ名前が聞こえ、頭が真っ白になる。電話口から、姉の声が聞こえ、なんとか返事をしていた。
「分かった。一緒に帰るね」
私はそう言うと、電話を切った。
「教室の外まで連れてきたよ」
その言葉に促されるように教室の扉を見ると、その開いている扉からいつも私を魅了する姿があった。何かを考える隙もなく、条件反射のように胸が高鳴る。彼が私を見ていたことに気づき、その心拍数が跳ね上がる。
すぐに彼の視線は私からそれ、教室内を見渡している。だが、私の心臓の鼓動は乱れたままだった。クラスのざわつきが耳に届いていたが、心臓の鼓動がすぐにそれを打ち消してしまう。
眉をひそめている彼に晴実が駆け寄っていた。
晴実の長い指先が私に向く。指名にドキッとしながらも、彼から目を離せないでいた。木原君は目を一度見開くと、うなずく。彼の唇が「ありがとう」という言葉を形作るのが分かった。
「木原雅哉だったかな。学年は同じらしいけど、知っている?」
ほぼ同時に違う声で同じ名前が聞こえ、頭が真っ白になる。電話口から、姉の声が聞こえ、なんとか返事をしていた。
「分かった。一緒に帰るね」
私はそう言うと、電話を切った。
「教室の外まで連れてきたよ」
その言葉に促されるように教室の扉を見ると、その開いている扉からいつも私を魅了する姿があった。何かを考える隙もなく、条件反射のように胸が高鳴る。彼が私を見ていたことに気づき、その心拍数が跳ね上がる。
すぐに彼の視線は私からそれ、教室内を見渡している。だが、私の心臓の鼓動は乱れたままだった。クラスのざわつきが耳に届いていたが、心臓の鼓動がすぐにそれを打ち消してしまう。
眉をひそめている彼に晴実が駆け寄っていた。
晴実の長い指先が私に向く。指名にドキッとしながらも、彼から目を離せないでいた。木原君は目を一度見開くと、うなずく。彼の唇が「ありがとう」という言葉を形作るのが分かった。