ハゲ天使【被害妄想彼氏 番外編】
「椿!帰ろ!」
隣のクラスの大和がうちのクラスにやってきた。
「ごめん、今日は一人で帰る!」
そう言って、教室を出た。
一人で帰るのは、いつぶりだろうか。
いつも大和と一緒に帰っていた。
(今日は、一人で帰りたい気分なんだよね)
と、トボトボ歩いていた。
「あ、ハ…椿ちゃん?」
振り向くと、真知子が立っていた。
「真知子…。」
会いたかったような、
会いたくなかった様な、複雑な心境。
「今、帰り?大和くんは一緒じゃないの?」
「うん……」
「どうしたの?喧嘩でもした?」
「ううん、それより…聞いたわよ。結婚の話」
そう言うと真知子は顔を赤くした。
「や…まだ、プロポーズされただけなんだけど」
赤くなった顔を、照れて隠す真知子は、
なんだか可愛く見えた。素直だと思う。
「一緒じゃん?えと…お、おめ…でと」
ちゃんと、『おめでとう』を言えたら良かった。
と、言った後に後悔した。それでも、真知子は笑ってくれた。
「ありがとう」
笑った真知子は、何だか輝いていて、幸せそうだと思った。