秘密と生きる君
新しい学校へ

ビピピ……

ビピピ……



バンッ!!



「あー…、もう朝かぁ…。だりぃ…」



うるさく鳴り響く目覚まし時計を乱暴に止める。
朝から頭に響くのは痛い。特に、俺のように低血圧な奴には…。



「ハルー!朝よー。もう起きなさいねー!!」



一階から母さんの声が聞こえる。
返事を返す気力すら無い…。
朝は本当に苦手だ。

だけど、このまま布団に包まっていても仕方ないから渋々部屋を出た。



「おはようハル。今日から新しい学校ね。頑張ってきてね!」

「んー…」



短く返事らしき声で答える。

そう、今日から俺は新しい学校に通う。
よくある親の仕事の都合で転校ってやつだ。

転校は今回が初めてで、今日は少し緊張していたりする。
引っ越しを準備している時、何かと大変で、毎回親の都合で連れ回される子供は本当に辛いと思った。

まだ覚醒しない体をふらつかせながら、テーブルの上に置かれているトーストに手を延ばす。



「あ、もうこんな時間!お母さんもう出るわね。ハルも気を付けて学校行ってきてね〜」

「はいよー」



母さんはニコニコしながら出て行った。
母さんも今日から新しい仕事場に通う。
明るい性格の母さんのことだから、新しい仕事場に行くのが楽しみなんだろうな。


そろそろ俺も出ないと遅刻するかもしれない。

新しい制服に着替え、俺は家を出た。



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