秘密と生きる君
「あ、ところでアキ!お前今日遅刻したんじゃないのか〜?」
悠馬はアキの背中をバシバシ叩きながら聞いた。
それによっておかずを口に含めていたアキは咳き込みながら答えた。
「ゴホ……ッ。だ、大丈夫だったよ。先生が見逃してくれたから」
アキは少し涙目になっていた。
「アキ、大丈夫か?」
アキの背中をさすりながら俺は尋ねた。
「うん。大丈夫!」
ニコッと笑顔を向けるアキ。
変なとこに詰まったら大変だからな。
大丈夫そうなので、俺は一先ず安心した。
「も〜!今死にかけたじゃん〜!」
涙目で悠馬を睨み付けるアキ。
「あはは!悪い悪い!」
悠馬は笑いながら箸を進めていた。
そんな二人を見ていると微笑ましく思った。
「ハル」
突然名前を呼ばれ、バッと声がした方を向いた。
俺の名前を呼んだ主は愁だった。
「なんだ?」
まだ少し心臓が落ち着いていなかったが、冷静を保ちながら愁を見た。
「部活、入るのか?」
「んー。まだわかんないかな。今日来たばっかだから、どんな部活があるかすら分かんないし」
「そうか」
会話終了。
愁はあまり口数が多い性格ではないようだ。
それとは逆に、アキと悠馬は盛り上がっている。
俺も口数が多いかと聞かれたら、少ないほうかもしれない。
なんだか、愁とは親近感が感じられた。