秘密と生きる君
一日の授業が終わり、早くも放課後となった。
「あー、やっと終わったぁ!」
机にうなだれながらアキはため息をついた。
「さて、帰るか」
そう言いながら肩に鞄を掛けたとき、
「ダメ!」
アキの声によって俺は制止した。
「な、なんで?」
いきなり大きな声を上げられ、驚いた俺はびくびくしながらアキに尋ねた。
「放課後は俺と散歩するって言ったじゃん!」
「あ……」
そういえばそんな約束をした気がする。
「もしかして、忘れてたぁ?」
アキが俺の顔を覗き込む。
「ご、ごめんな……?」
俺は申し訳なさそうに手を合わせて謝った。
「もー。今日は許してあげるよ」
仕方ないんだから!と笑顔で許してくれた。
「ありがとう」
アキの笑顔を見てると、こっちまで笑顔になってしまう。
「早く行こうよー!」
いつの間にかアキは教室の外に居た。
そして、扉の横からひょこりと顔だけ出して早く早くと手招きをしていた。
「早く来ないと置いていくんだからー!」
そう言うと、アキは廊下を駆けていった。
「あ、待てよ!」
俺は慌ててアキを追い掛けた。