秘密と生きる君
学校へは歩きで通う。
俺が転校する学校は、ここら辺はもちろん、他の地域からも荒れていると有名な学校だ。
なぜ、わざわざこんな危険な学校に通うことになったかと言うと、俺の成績がこれでもかと言うほど低いからだ……。
自分が惨めに思えて仕方ない……。
「あーぁ。不良の集団の中で上手く生きていけるか不安だなぁ。」
両腕を高く上げながら呟いて、
道の角を曲がろうとしたその時───
ドンッ!!
「うぉッ!?」
「わぁッ!!」
誰かとぶつかった。
お互い地面に尻餅を付き、転がった。
「い、いてー…。あ、大丈夫ですか!?」
俺は前に転がっている奴に手を延ばした。
少し小柄に見えるが男だ。
「あ、はい!大丈夫です!」
ニコッ!と笑いながら、そいつは俺の手を掴み立ち上がった。
「ホントごめんなさい!俺急いでて……。あ、やばい!じゃ、これで!」
目の前の男は時計を確認すると、俺が歩いて来た道を駆けて行った。
「なんか、慌ただしい奴だったなぁ……」
少し苦笑しながら俺は学校へ向かった。