秘密と生きる君
いざ、校庭へ足を踏み入れた。
周りにいる生徒がチラチラ俺を見てる気がする。
視線が痛い……。
自然界の掟で、他の奴の縄張りに知らないで入り込んでしまった哀れな動物の気持ちが今解った気がした……。
俺、初日から殺られるのかな……。あ、やばい。目の前がちょっと霞んできた……。
とりあえず、職員室に向かう。
どこにあるかは分からない。ここは勘で行くしかない。
その辺に生徒がいるんだから尋ねればいいんだろうけど、この学校では遠慮したい……。
そんな広い学校でもなかったから、短時間で職員室を見つけることができた。
トントン
「失礼しまーす」
一応礼儀を守って職員室に入った。
「おー、お前が高宮だな?」
「はい」
「ははは、見た目は普通なんだなぁ」
「は、はぁ……」
いきなり変なことを言われて曖昧な返事をしてしまった。
きっと、こんな高校だから先生もどんな不良が転校して来るのかと思っていたんだろうな。
俺はそんな派手ではないと思っている。
まぁ、髪は少し茶色に染めているが……。
あと、ピアスも左右に1つずつ空けている。
不良の中じゃ、これくらいはまだ軽い方だと思う。
「お前は1年D組に入ることになったからな。担任は俺、岡田だ。よろしくな」
「高宮ハルです。よろしくお願いします」
「朝のHRでみんなに紹介するからな。まぁ、こんな高校だが、頑張れよ」
「はい」
一通り話が終わると、担任の岡田が立ち上がり俺を教室まで案内してくれた。