エンターテイナーズ
やがて、フェードアウトしていった馨の声。
そしてようやく私も今の状況に気付いた。
「…あれ、凪ちゃん………
と、誰??」
次に馨から発された声は、
不思議なイントネーションをした高めの声だった。
あれ、歌ってた時と声質が全然違う…
「邪魔しちゃってごめんなさいね。
こちらは汐珠季さん。
今日は見学させてもらうわよ」
「ほーかほーか。
どーりで見らん顔やった訳や!
ほな初めましてやな!」
――…か、関西弁…?
「珠季さん、この人は南波馨といって、
うちに所属しているバンド“HANDS.”のボーカルなの」
「よろしゅう!
あ、馨って呼んでや〜!」
「あ、はい…」
この人、歌ってる時と話してる時のギャップがありすぎる!
「ん?汐珠季…って、
もしかしてこの曲作ってくれた汐和俊さんの関係者かいな?」
「あ、一応…私の父、です…」
「何や、そんならそうと早よ言わな!!」
ビクッ
「す、すいませ「俺とデュエットすんで!!」
――…は?
今、何と?