エンターテイナーズ




「……―うん。よかった」


間隔を置いて、伶緒が呟いた。


「うんうん。俺もこんなん初めてや!
女の子とこないに息合うとは思わんかったわ!」


答えるように、馨が乱れていない息で言った。


あんなに歌ったのに…
肺活量、すごいんだ。


「な、珠季ちゃんもそう思ったやろ!?」


「えっ?――はい、すごく…気持ちよかった、です…」


私の言葉に、馨がうんうんとうなずく。


伶緒の方を見ると…
神々しいほどの笑顔で私を見つめていた。





ドキン





高鳴った胸は、この空気のせいにした。





< 30 / 48 >

この作品をシェア

pagetop