多目的ルームに住む僕ら



「お前、遅い…じゃねぇよ…。はぁ……昨日…っ…ドコいたんだよ。」



ドカッと、ユリの寝そべるベッドに腰を下ろす。


落ち着いて話すつもりが、勝手に途切れとぎれになってしまうのが悔しい。


「そんな事より、お腹空いたよタロー。」



俺が息切れするほど急いで帰って来た理由なんて、全く知らないかのように、ユリはゴロゴロとベッドに転がった。



すっぴんで見せるその表情は、普段のユリより可愛げがあった。






「タローじゃねぇよ。」


おれがキッチンに向かいながら呟くと、ユリはそれが聞こえたのか聞こえてないのか…


クスッ、と笑うとベッドを少し鳴らした。




ペタペタと、ユリの足音が近付いてるのが分かる。



俺は、趣味ではないはずの洒落た派手な赤い冷蔵庫に手を伸ばす。



中にある食材を適当にガサガサと片手に抱えて立ち上がった。




そして冷蔵庫の扉を閉めるのを止めて、キッチンに材料をばらまいた。



案の定、ユリは開けっ放しの冷蔵庫からミネラルウォーターを取り上げると…




俺の後ろから肩越しに差し出した。





「あたし、タローがいないと水も飲めないよ?」





< 3 / 15 >

この作品をシェア

pagetop