多目的ルームに住む僕ら
「お前、遅い…じゃねぇよ…。はぁ……昨日…っ…ドコいたんだよ。」
ドカッと、ユリの寝そべるベッドに腰を下ろす。
落ち着いて話すつもりが、勝手に途切れとぎれになってしまうのが悔しい。
「そんな事より、お腹空いたよタロー。」
俺が息切れするほど急いで帰って来た理由なんて、全く知らないかのように、ユリはゴロゴロとベッドに転がった。
すっぴんで見せるその表情は、普段のユリより可愛げがあった。
「タローじゃねぇよ。」
おれがキッチンに向かいながら呟くと、ユリはそれが聞こえたのか聞こえてないのか…
クスッ、と笑うとベッドを少し鳴らした。
ペタペタと、ユリの足音が近付いてるのが分かる。
俺は、趣味ではないはずの洒落た派手な赤い冷蔵庫に手を伸ばす。
中にある食材を適当にガサガサと片手に抱えて立ち上がった。
そして冷蔵庫の扉を閉めるのを止めて、キッチンに材料をばらまいた。
案の定、ユリは開けっ放しの冷蔵庫からミネラルウォーターを取り上げると…
俺の後ろから肩越しに差し出した。
「あたし、タローがいないと水も飲めないよ?」