多目的ルームに住む僕ら
ダメだ。
いつも、コイツのペースにはめられる。
「お前なぁ。普通はさ、仕事で疲れて帰ってくる俺に夕飯作って待ってるもんじゃねぇの?」
不機嫌な顔を作りながら、我ながら上手く焼けた鰺の開きに手を付ける。
「やだね。私、別にタローの彼女じゃないんだから。」
ユリは二人分のだし巻きを、短時間でペロリと平らげた。
おい、俺の分…。
いや、そんな事より。
今日こそはハッキリさせようじゃないか。
彼女でも家族でもない、ユリと名乗るお前がなぜこの部屋に住み着いたのか。
俺にはそれを知る権利がある。
なぜなら、この部屋は俺が住んでいるんだから。