多目的ルームに住む僕ら




「な…なんだよコレ。スペアまで持ってんのか!?どこで手に入れたんだよ?」



正直ストーカーだと思った。いや、だって完全に怪しいだろ。



女はフゥッ―とため息を吐き、白い無地の封筒を差し出した。



「この中に、この紙と鍵が入ってたの。よく見て?あなたの名前じゃないのココ。」



大きく真ん中に『契約証明書』と書かれた紙の一番下の契約者名の所には、俺の名前が書いてあった。



そして、よく見ると『入居者2名』の文字と左端には割印が押してある。



「は…入居者2名?契約した時は俺だけだったはず…。」





混乱する俺を横目に、女は鍵の刺さったままのドアをひねり、ひらりと中へ入っていった。



「ちょ!おい勝手に入るなよ!」



すぐさま俺も後を追って部屋へ入る。


女は電気を捜し当て、靴を脱いで玄関にそろえると陽気に部屋の仕切りをまたいだ。



俺の部屋の仕切りを…。



「おじゃまします。」



靴を並べる事といい、礼儀がなってるんだかないんだか。




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