フィガロの恋 【ペナルティー作品】
相田は「むう」と唸って考え込んだ。
「危険な賭けだが、思い切って暗号無しでメッセージを送ろう。もし卑弥呼にばれているのだとしたらもう逃れられないのだし、そうでないとしたら無意味なやり取りは意味が無い」
「お前たちは何を企んでいるんだ?」
「卑弥呼が日本との軍事協定を無視して秘密裏に建造している最新鋭イージス艦【しゃちほこ】を調査することが俺たちの任務さ。政府はこの事実を押さえて邪馬台国を糾弾し、軍事協定を優位に持っていくつもりだ」
「・・・マヨネーズだとかしゃちほこだとか、政府もどこまで本気なんだ」
「だから俺だってマヨネーズのことは知らないんだ。仕方ない。誰だか分からん、マチコを名乗る同志に連絡を取っていくしかあるまい」
投げやり気味に言い捨てると、相田はすでに温くなってしまったビールをぐいと飲んだ。
「とりあえず今日は任務のことは忘れて飲む事にしよう。お前だって、それなりにいろいろ苦労があるんだろう。特に、後ろ盾が不安定になった今はな」
川口は苦笑いでそれに答え、店員を呼ぶコールボタンを押した。
「そうだな・・・お互いに新たなパイプは作っておいた方が良いだろう。どうだ、これでも試してみるか。こっちでは合法になったらしいからな」
差し出されたタバコを見て、今度は相田が苦笑した。成果が自分に返ってきたのだ。


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