フィガロの恋 【ペナルティー作品】
「やあ、これは相田じゃないか」
楽隊の奏でる調べにあわせ人々が華やかに踊るのをかき分け相田に近づいたのは、日本大使の川口だった。
「ああ・・・川口か、久しぶりだな」
「お前も今回の仕分けで職を失ったってわけか。とはいえ、亡命とは思い切ったな。・・・ここだけの話だが、あの卑弥呼って女はとんでもないぞ」
ここまで言うと川口は左右を見渡して二人の会話を聞くものがいないのを確認し、さらに声をひそめて相田に告げた。
「彼女が鬼道のちからで奇跡を起こすってのは本当だ。それが何かと聞かれても俺に説明はできないがな。少なくとも俺は何回かそれを目にする機会があったんだ。彼女が手をかざしただけで病人が元気になったり、猫とアヒルがちからを合わせて唯ちゃんを幸せにしたりするのをな。俺自身も、ここの大使に就任したときに彼女にこういわれたよ。あなたは将来日本国から勲章を受け、死ぬまでウハウハ街道一直線、だとよ!HAHAHA!俺は予言なんて信じていないがね!」

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