【短編】焼却炉

変な臭いがする。


美香【みか】は高校の昇降口を出てすぐそんな異変を感じた。


ラードを焦がした、脂っこい臭い。


……どこからだろう。


いつもならきっと気にする事なんてないのだけど今日はこれから予備校がある。


何かしらの理由を付けて行く足を遅めたいだけ。美香は心の中でわかっていながらも臭いを辿る事にした。


辿る。とは言ったもの自然と足は焼却炉の方へと向かっていた。


理由など簡単な事。


『焦げた臭い』、それだけで十分に焼却炉だと推察は出来る。


現に昇降口とは校舎を隔てて反対側の焼却炉へと出ると一人の少女が立っていた。


臭いも、この辺りが一番キツい。



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