【短編】焼却炉
美香は少女に見覚えがあった。
京子【きょうこ】である。
同じクラスであまり目立つような子ではなく、それが災いしてかクラスではイジメられている子だ。
美香は別段、京子の事を嫌いではなかった。
けれどクラスで彼女をイジメなければ自分までイジメられるんじゃ。
そんな強迫観念が美香をイジメに走らせていた。
今もまた、イジメか少なくとも嫌がらせでも受けて何かを焼いてるのかな。
だとしたら何を焼いてるのだろう。好奇心に誘われるまま美香は京子へと近づいていった。
「あんた何してんの?」
掛けた声に反応するように京子は美香を一瞥した。
しかし、それは一瞬だけで京子は再び焼却炉に視線を戻す。