【短編】焼却炉
無視、された?
美香はほとんど初めてと言っていいくらいに京子に怒りを覚え、声を荒げる。
「シカトしてんじゃないわよ!?私が『何してんの?』って聞いたのよ!?」
しかし京子はまるで気がついていないかのように、頑なに美香を見ようとしない。
美香は気がついた。
呟いている。
京子が何かを。
『きゅう、きゅう、きゅう……』
まるで呪詛のように『きゅう』と言う言葉を吐き出し続けている。
美香は気味の悪さを感じながらも、それより無視された事の方が感情として外へ出ていた。
「何を訳のわからない事を!?ホントにあんた気持ち悪いわ」
それでも京子は呟き続ける。
焼却炉を向いて。
…うん?