嘘日記〜私の日常〜
氷すら置かれてなくて、水滴一つ見当たらなかった売り場は、今は魚でいっぱいだ。

納得出来ない気分ながら、妹に指定された魚を買い求め、家へと向かう。


帰り道の途中。

店のウィンドウに写る、情けない姿。

水没したにも関わらず、服は何故か濡れては無かった、それは救い。

しかし。

右頬にはくっきりと、鮮やかに赤い紅葉。


(魚は買えたけれど、コレはなんと言い訳しよう?)

まさか、そのままは話せない。
片方にはそのまま語っても良いが、もう片方には"妄想を語るな"と言われるのが落ちだ。

下手をすると、病院に連れて行かれる。勿論、心の。

紅葉のついた情けない顔を、更に歪めて、私は深くため息をついた。


嘘だけど。
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