【続】ギャップ的恋愛論
「なんだよ、急に…」
「あのね、プレゼントなんだけど、どうしても貰って欲しい物があって」
「貰って欲しいって……、ここは普通、自分が欲しい物を言うんだろ?」
あたしの唐突なお願いに、一瞬眉をしかめた怜二だけど、
「っつうか、お前に普通は通用しないか……」
そう言って、クスクス笑いながら首をかしげた。
「なに?俺にやりたい物って」
その顔があんまりカッコ良くて、写メでも撮りたい気持ちになりつつも、ここはなんとか抑えて、あたしはこの前から伝えそびれていた話をした。
「実は……ゴーグルとスイムキャップを……」
「……はっ??」
ですよねー?
いきなり言われたらそうなりますよねー?
怜二の顔は、まさしく目が点になっていて、
「えっと、だからね…」
あたしはなんとか自分の気持ちをわかってもらえるよう、慎重に言葉を選ぶ。
「来年、補講でプールがあるでしょ? その時にね、怜二の素顔とか皆に見られたくないなーなんて思ってまして……」
そう、ゴーグルとスイムキャップこそ、色んなことでうやむやになっていたあのプール問題で思いついた、あたしの案だった。
『ずいぶん単純な手だけど、まあいいんじゃない?』
一昨日のストレッチ中に、なんとか朋歌のお墨付きももらえたし。
「お願いだから、その日だけはゴーグルとスイムキャップ被って欲しいの!」
両手を顔の前で合わせて、あたしは怜二にお願いした。
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