【続】ギャップ的恋愛論
でも思った以上に、怜二はあっさり答えてくれた。
「多分、年内には辞める……」
「えっ……」
そんなに早く??
「この答えじゃ不満か?」
「ううんっ、そんなんことないよ、そんなこと……」
1階へと着いたエレベーターを下りながら、あたしはうわ言のように呟いた。
でもまさかそんなに早く辞める気でいてくれたなんて……
もしかして、あたしのせい?
あたしがあんなこと言ったから……
急に不安になって怜二を見上げると、ん?と優しく微笑まれて、その疑問は伝えられずにそのまま呑み込んだ。
でも………
素直に嬉しいって喜んでいいのかな?
ホントは飛び上がりたいほど嬉しいけど、怜二がバイト頑張ってたの知ってるし……
それにお金に困ってるって………
「お前、手袋してないぞ?」
いつの間にか握られていた手を、まじまじと見つめて言う怜二の言葉に、あたしは悩んでいたことも忘れて、あ!と声を上げた。
「忘れたんだろ?」
「うん……ごめんなさい……」
とことんドジだね……あたしってば……
「ま、よくね? こうやって手を繋いで帰れば」
「えっ…」
「それとも、俺が取りに帰ろうか?」
上を見上げる怜二に、ブンブン首を振ってそれを拒否する。
「いいっ、明日学校で返してくれれば。
っていうより、手を繋いで家に帰れるなら、このままずっと無くても構わないもん!」
そんなあたしをクスッと笑うなり、
「じゃあ明日から、一緒に帰ろっか……」
最高に嬉しい言葉を耳元で囁いてくれるから、
あたしが何度も首を縦に振って応えたのは言うまでもない話。
嬉しい!嬉しすぎて倒れそうだよっ……!!
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