【続】ギャップ的恋愛論
相手の親に結婚の承諾を貰いに行く時ほど緊張するものはない、とはよく聞くが……
まさしく、こんな感じなんだろうか……?
頭の片隅でどこか冷静に今の状況を分析していると、
「お前、柾の命日知ってるか?」
突然そんな質問をされた。
「確か……再来月の26日だったと思います」
俺がすぐにいつかの乙葉との会話を思い出して答えると、
ふっと笑みを漏らした凌さんは、なぜか遠い目をして黙り込んでしまった。
何だよ…
一体、何がしてぇんだよ、アンタは……
まさか、乙葉に関するクイズ大会でもして俺を試すつもりとか……?
ついには目を閉じてしまった凌さんを訝しく思いながら、俺がその動向を伺っていると、
やがてゆっくり瞼を上げた凌さんは、おもむろにその口を開いて俺を見据えた。
「今からお前に話すことは、乙葉は全く知らない話だ。
そのことをよく踏まえて聞いてくれ」
それはつまり……
「わかりました。他言はするなってことですよね。
大丈夫です。誰にも言うつもりありませんから安心して下さい」
「そう言ってもらえると助かる」
俺が大きく頷いたのを確認して再び話し始めた凌さんの声は、心なしか震えているような気がした。
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