【続】ギャップ的恋愛論
「さっきお前が言ったように、柾の命日は12月26日だが……、事故に遭ったのはその前日、クリスマスの日なんだ」
クリスマスに、事故……?
マジかよ……
そんなの、サンタからのとんだプレゼントじゃねぇか……
「アイツはあの日、店で開かれていたイベントを抜け出してまで、慌てて家に帰っていった。
それはどうしてだと思う?」
「……家族のため、ですか?」
「まあそういうことだ。
正確に言えば、アイツは娘である乙葉にプレゼントを渡しに帰ったんだよ……」
「……えっ…」
まさか……その帰り道に事故に!?
そんなむごい話、絶対アイツに言えるわけねぇじゃねぇか!
俯いていた俺の顔が一瞬で険しくなったのに気づいたのか、小さくため息をついた凌さんは、
「今の話でわかっただろ?
どうして柾の詳しい事故の状況を乙葉には秘密にしているか。
このことを知ってる人間は数少ないが、全て信用できる奴ばかりだ。
絶対に乙葉に漏れる心配はないから安心しろ……」
俺の気持ちを汲み取ったかのようにそう言って、視線を上げた俺に向かってわずかに微笑んでみせた。
でもその顔は、やっぱりどこか痛々しく見えて、俺は一旦気を落ち着かせるためにも、目の前のコーヒーカップに手を伸ばしてそれを口に含んだ。
`