【続】ギャップ的恋愛論






でもどうしてこの人はそんな話を俺に……?






俺の口の中にコーヒーの苦みがじわじわと広がってきた頃、凌さんは再びぽつりぽつりと話しはじめた。






その事故は、運命の悪戯とも言うべきことが幾重にも重なって起きた事故であったこと。





当時まだ4歳だった乙葉は、寝ぼけたまま病院に連れられて来て、全く状況を理解していなかったこと。






事故に遭って数時間後、26日AM3:17に、柾さんは静かに息を引き取ったこと。






それから……柾さんが乙葉に渡すはずだったプレゼントのかけらは、全て拾い集められて、今は凌さんと未亡人となってしまった杏奈さんで半分ずつ持っていること。






「今だに後悔してるよ。

なんであの時、あの客に捕まってた柾を早く家に返してやらなかったのか……

なんであの時、道が混んでるだろうからチャリで帰るって言い出した柾を止めなかったのか……

俺が背中を押してさえいれば…、無理矢理タクシーに乗せてさえいれば……

飲酒運転の車にはねられることもなかったのに……」






そう言うなり、凌さんは目頭を押さえて俯いた。







きっとこの人は、柾さんの死を全部自分のせいにしようとしてるんじゃないか………





俺はそう思えて仕方なかった。







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