【続】ギャップ的恋愛論






それが運命の悪戯の引き金の正体、か……






ストのせいで2日遅れで届いたプレゼントを、配達先にしていた店で受け取った柾さん。






そのプレゼントを家に持って帰ろうとした矢先に、ちょうど来店した常連客に捕まって、






やっと店から解放されたのは、後30分でクリスマス当日ではなくなってしまう時間だったという。






それから急いでチャリを飛ばして帰っている途中に、どこかのクラブのクリスマスパーティーで酒を飲んでいた男の車にはねられてしまったらしい。






全ては、クリスマスが起こした悲劇と言うべきなのか………







「俺な、それ以来クリスマスなんて大っ嫌いになったんだよ。

おかげで毎年、乙葉の前だろうが酔い潰れちまうようになって、ある年、杏奈に言われた。

“乙葉をそんなしがらみに巻き込むのはお門違いだ”って……

そりゃそうだとは思ったんだけど、でもどうしても当日になると、浴びるように酒が飲みたくなるんだよな……」







そう言って自嘲的な笑みを漏らした凌さんは、まるで自分に言い聞かせるように「最低な親代わり…」とぽつりと呟いた。






「それは……、それは違うと思いますよ、凌さん」






というより、勘違いしてるよ、アンタ。






乙葉がどれほどアンタを信頼してるか知らねぇだろ?






何かある度に、アイツは“凌ちゃんはね…”って当たり前のようにアンタを引き合いに出すんだぞ。






その度に、軽い敗北感を味わってる俺の身にもなれってんだ。







`
< 130 / 149 >

この作品をシェア

pagetop