【続】ギャップ的恋愛論
それが運命の悪戯の引き金の正体、か……
ストのせいで2日遅れで届いたプレゼントを、配達先にしていた店で受け取った柾さん。
そのプレゼントを家に持って帰ろうとした矢先に、ちょうど来店した常連客に捕まって、
やっと店から解放されたのは、後30分でクリスマス当日ではなくなってしまう時間だったという。
それから急いでチャリを飛ばして帰っている途中に、どこかのクラブのクリスマスパーティーで酒を飲んでいた男の車にはねられてしまったらしい。
全ては、クリスマスが起こした悲劇と言うべきなのか………
「俺な、それ以来クリスマスなんて大っ嫌いになったんだよ。
おかげで毎年、乙葉の前だろうが酔い潰れちまうようになって、ある年、杏奈に言われた。
“乙葉をそんなしがらみに巻き込むのはお門違いだ”って……
そりゃそうだとは思ったんだけど、でもどうしても当日になると、浴びるように酒が飲みたくなるんだよな……」
そう言って自嘲的な笑みを漏らした凌さんは、まるで自分に言い聞かせるように「最低な親代わり…」とぽつりと呟いた。
「それは……、それは違うと思いますよ、凌さん」
というより、勘違いしてるよ、アンタ。
乙葉がどれほどアンタを信頼してるか知らねぇだろ?
何かある度に、アイツは“凌ちゃんはね…”って当たり前のようにアンタを引き合いに出すんだぞ。
その度に、軽い敗北感を味わってる俺の身にもなれってんだ。
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