【続】ギャップ的恋愛論






「乙葉は、凌さんを本物の父親のように慕っています。
この前は冗談混じりだったけど、本当の親子になりたい、とも言ってました。

自分がどれほど凌さんに大切にされてきたか、十分気づいているんですよ、アイツは。

だから“最低”なんて言葉、乙葉のためにも軽々しく使わないで下さい」







もうクリスマスの度に自分を責め続けるのは、止めたらどうですか……?






ホントはそう続けたかった言葉を飲み込んで、俺が凌さんの目をじっと見つめ返すと、






「………っ…」







下唇をぎゅっと噛み締めた凌さんは、また黙って俯いた。






その表情は見えないけど、心の中では泣いてるように見えた。






今まで非の打ちどころがないと思っていた凌さんも、心の奥底には深い闇を抱えて生きている。






そう思ったら、凌さんに対して一種の敵対心を抱えていた自分が妙にガキ臭く感じて、






………すみません、勘違いしてたのは、俺もです。






さすがに口には出さないけど、気づいたらそっとその姿に向かって頭を下げていた。







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