【続】ギャップ的恋愛論
言われて見ると、そこには−−−
「ガラスの……靴?」
まるで有名な童話に出てくるようなその写真の中のガラス細工は、光を受けてキラキラと眩しいほどに輝いている。
「それ知らないのか?かなり有名なフランスのクリスタルメーカーが出してるもんだぞ」
「知りません」
言っちゃ悪いが、こういう類のモノにはまるで無頓着なんだよ、俺は。
「クリスマス前になると類似品がよく出てるだろ?」
だから……
「知りませんって」
「……ああそうか、お前、女には貢がせるタイプだな?」
「………は?」
「それはな、別名“幸福を呼ぶ靴”って呼ばれてんだよ」
「……はあ」
聞きずてならない言葉に眉をしかめる俺を気にする様子もなく、すっかり調子を取り戻した凌さんは、饒舌に語り始めた。
「そいつはな、オリンピックイヤー、つまり4年に1度だけ販売される。限定500個。価格は書かれてる通り。毎回予約が殺到する代物だ」
価格……?
「たけっ…!?」
21万!?
たかがガラス細工にしては0が1コ多過ぎじゃねぇ!?
「高いと思うか、安いと思うかは、まあそいつにまつわるジンクスを聞いてからにしろや」
「ジンクス、ですか…?」
「そうだ。それをクリスマスに贈られた相手は、あの童話と同じように、生涯幸福に暮らせるんだとさ。
なかなかロマンチックだろ?」
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