【続】ギャップ的恋愛論
「……っ…、どういうことだよ」
イラ立ちを隠さず力任せに座ったソファーがギシリと軋む。
俺が不機嫌全開で睨み付けると、凌さんはさらに楽しげな笑い声を上げた。
「いやぁ、普段は澄ましてるお前にも、感情剥き出しになる時ってあるんだな?
うん…、実に興味深い」
なんだ、コイツ。
バカにしやがって!
「そりゃありますよ。俺だって人の子なんでね」
でもここは感情を抑えないと、またバカにされるのがオチだ。
そう思ってなるべく平然を装いながらも、睨むのだけは止めなかった。
すると凌さんは、口端をニヤリと上げてそんな俺を見据えた。
「だからそう、いきり立つな。
俺は褒めてんだよ、そういうとこ」
「はっ??」
どう考えたって褒めてる態度じゃ…
「乙葉にちゃんと惚れてくれてんだな、お前……」
「なっ…!?」
「俺が見てる限り、アイツが一人で熱を上げてんのかと思って心配してたんだよ。
もっと本音を言わせてもらえば、乙葉の外見と背負ってるモノにだけ惹かれて寄ってくるバカ共と一緒なのかと思ってた」
「それは心外ですね。俺はアイツがどんな格好をしてようが、どんな家庭に育ってようが、関係なく内面に惚れたんです」
「そうかそうか…、そいつはますます悪かったな。
お前を尋ねてよく女が来るって聞いてたから、てっきり乙葉のことは興味本位なのかと……」
「あれはっ…、……前のバイト先の、常連です」
ホントは一部ニュアンスの違う奴もいたけど、それはごまかした方がいいだろうと、少し歯切れの悪い言い方になりながらも、俺はそう言い切った。
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