【続】ギャップ的恋愛論
抽選なんだから運ってのはわかるけど……情熱は意味なくねぇ……?
それとも何か?
念力でなんとかしろとか?
凌さんの言葉の意図を俺が頭の中であれこれ思案していると、
「この抽選にはな、ちょっとしたコツがあるんだよ」
と、さも楽しそうに微笑まれてしまった。
「それはどういう…」
「な〜に、簡単なことだ。
予約を入れる時に一緒に、どうしてコイツが欲しいのかをちょちょっと書けばいいんだよ」
「ちょちょっと……?」
「そうそう。自分にとって相手がどういう人か、とか、どのくらい愛してるか、とか。
とにかく備考欄に書き込めるだけ書くんだよ。
そしたら審査する側にもその情熱が伝わって、選ばれ易くなるって寸法だ。
いわゆる裏ワザだな」
「マジっすか……」
凌さんの説明に、俺はそれだけ呟いて絶句した。
そもそも俺は、実の母親に捨てられてからというもの、女に対して愛しいとか、手に入れたいとか、そういう類の感情を持ったことがない。
それが乙葉に出会えてからやっと芽生えてきたことを、自覚したばかりだというのに……
「自分の感情を言葉にするとか、かなり自信ないんですけど……」
俺が心からそう訴えると、一瞬顔をしかめた凌さんは、心底バカにしたように鼻で笑った。
「はっ、何を今さら。
ここでさっきまで息巻いてた奴がよく言うよ」
「それとこれとは話が違うでしょ」
文字にするなんて、それこそ……ラ、ラブレターと一緒じゃねぇか。
そんなこっ恥ずかしいこと、絶対に俺にはムリだ!
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