【続】ギャップ的恋愛論
−−−−こんな脅しのようなことを言われて、結局俺は、渋々その話に乗らざるを得なかったんだけど。
でも、やるからには中途半端なことはしたくなくて。
それから締切日までの約2週間、顔から火が出るほど恥ずかしい思いをしながら文章を考えた。
しかも相手はフランスのメーカーだから、使う言語はもちろん習ったこともないフランス語。
早速購入した日仏辞書なるものを片手に、何度も頭を抱えながら奮闘した俺。
こう言ってはなんだけど、頭にはかなり自信あったのに、フランス語は文法自体が難しくて、締切日ぎりぎりまでかかって出来上がったのは、ただの単語の羅列のような文章だった。
それでも、多分かなりの倍率だったであろう購入権利を手に入れることはできた。
でも本当の問題は、その先にあった。
“21万”
普通の高校生には到底用意できない金額が、今、俺の前に立ちはだかっている。
しかも10日以内に振り込まないと、権利は自動的に剥奪されてしまうらしい。
一応この賭けが決まってから、大幅にシフトを増やしてもらったんだけど、まだ足りやしねぇ。
引っ越しさえしなかったら、余裕で払えたのにな。
かといって、親からの仕送りをそれに充てたくはない。
自力で稼いで“幸福を呼ぶ靴”を乙葉に贈りたい。
………まあ、現実は厳しいんだけど。
くっそぉ、あと8万!!
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