【続】ギャップ的恋愛論






「おい、怜二。凌さんが呼んでるぞ」






いつの間にか顔が綺麗に映るほどトレイを磨いていた俺に掛けられた声に顔を上げると、そこにはなぜか神妙な顔付きをした郷野さんが立っていた。





「今ちょうど客がはけてるからすぐに事務所に来い、だとよ」



「……呼び出し?また?」






事務所に呼び出しと聞いて、一瞬あの時のことが甦って眉間にシワが寄る。






……ああ、そうか。
さっき言ってた俺にとって願ってもない話ってやつだな……






だけどすぐに思い直して、






「わかりました」






俺も郷野さんの後を着いて事務所に向かった。







「失礼します」






ノックをして入った事務所内には、すでに4人の先客が居た。






「やっぱり、怜二もなんだね……」






そう呟いて意味深に微笑んだみせたルイの他に、あと3人。






「これで対象者全員が揃ったな」






そんな俺達の前に立ちはだかりながら、凌さんがわけのわからないことを言った。






対象者……って何だよ?






でも首をかしげたのは俺だけだったらしい。






他の5人は全員神妙な顔付きで頷いている。






もしかしたら、昨日、俺が帰った後に何かしら聞いていたのかもしれない。






その考えは、凌さんの言葉によってすぐに証明された。






「昨日、郷野から参加意志の打診があったと思うが……」






……やっぱりな。






っていうか、俺、打診すらされてねぇけど?







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