【続】ギャップ的恋愛論
「お、追いかけよう…!」
思い付いたのが先か、口に出したのが先か。
引っ張られていた朋歌の腕を逆に引きずって、とにかく夢中で階段を下りて行った。
きっとまだ間に合うはずっ……!!
「…はぁはぁ、なんであたしまで!?」
昇降口で靴にはきかえながら、朋歌にはぶちぶち文句は言われたけれど。
今はそれどころじゃない。
「早くっ朋歌っ!」
「もうっ…」
いつもなら急き立てる側の朋歌に足踏みして声をかけると、思いっきり眉根を寄せて睨まれたけれど、仕方ないって顔でついて来た。
それを確認して、駆け足で校門を目指す。
あたしと帰る為にと、チャリ通からバス通へと変えてくれた怜二を見つける為に。
しばらく走ると、10m程先に怜二の背中を見つけた。
「居た!」
直ぐさま後ろに続く朋歌に報告すると、はいはいって頷いた朋歌があたしの腕を引っ張った。
「はぁはぁ…、尾行するんなら、これぐらい距離を開けなきゃ……」
朋歌の的確な助言に、あたしも速度を緩める。
やがて怜二は車の往来が激しい通りに出たところで、キョロキョロと何かを探しはじめた。
そこで目的のモノを見つけたのか、また歩みを進める。
その進行方向先には、1台の真っ黒なオデッセイが止まっていた。
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