【続】ギャップ的恋愛論
そのまま連れて来られたのは、屋上へと続く階段の踊り場だった。
そこであることを思い出して、ニヤリと笑みが漏れる俺。
まだ乙葉と付き合う前に、ここでいきなりキスされた日のことを。
きっと今の俺は、“キモダサ野郎”のキャラなんて微塵もなくなった顔になっているんだろうけど、誰に見られる心配もないから好きにさせてもらう。
「………なあ」
「ん?」
前を行く乙葉の手を逆にこっちが引っ張って、そのまま体を反転させた。
「こんなひと気のない場所に連れて来て……何するつもり?」
言いながら、眼鏡を取った顔で覗き込むと、完璧にメイクされた顔が、ぼぼぼっと音が鳴りそうなほど真っ赤に染まった。
面白い……
見た目はケバくても、中身は純情な乙葉の反応は、いつ見ても俺を飽きさせない。
「……な、何って……大事な話を……」
「大事な話?
前みたいに……ここでキスするよりも?」
わざとあのことを持ち出して、からかってみる。
我ながら、かなり意地悪な性格をしていると思う。
だけど−−−
「キ、キス!?」
この素直な反応が見たくて、ついやっちまうんだよな。
赤い顔で慌てふためく姿が、俺のSっ気に更に火をつけてしまうのを、コイツは気付いてないらしい。
後頭部に腕を回し、そのまま顔を引き寄せていくと、プルプルと子犬のように小刻みに震えながらも、俺を一生懸命見上げてくる。
いい反応だ……
乙葉の緊張を直に感じて、ゾクリと心が震えた。
まさか16のガキに俺が発情するようになるとは……
って言っても、俺も16なんだけど。
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