【続】ギャップ的恋愛論
ホントはね、知ってるんだ。
怜二が今までどんな生活を送ってきたのか。
きっと怜二本人は、あたしが知ってるなんて知らないだろうけど。
付き合い初めの頃、怜二の親友で、同じようにラリックでバイトを始めた三原君に教えてもらった。
『アイツさ、女を鼻っから信用してなかったんだ。
だから、今まで不特定多数の女と関係してきたイケナイ男だったんだよ…』
それを聞いて、愕然としたし、ショックでもあった。
と同時に、本当にあたしが彼女でいいのかな?とも思った。
怜二なら、もっと魅力的で、美人で、大人の女の人の方が似合うんじゃないかって。
実際、お店での怜二は、そういう人に沢山声を掛けられて、決して学校では見せない色っぽい表情でその雌ヒョウ達(お客様です!)を悩殺してるし。
見た目が派手なだけで、実は中身はからっぽのあたしなんかより、ずっとずっとお似合いなんじゃないかな……
『そっかぁ……、怜二なら誰もほっとかないもんね…』
心の底から自信を失くしつつあったあたしを見兼ねてか、三原君は慌てて言葉を付け足した。
その言葉を、あたしは一生忘れないと思う。
『でもな……乙葉ちゃんと付き合いだしてから、アイツ生まれ変わったんだよ……
“女は乙葉一人でいい”ってさ……』
それって、本当???
ホントに、あたしだけでいいの?
聞きたいけれど、恐くて聞けなかった疑問。
今、確かめてもいい……?
キーンコーンカーンコーン―-……
ぎゅっと抱きしめ合っていた怜二の体が、HR終了を告げる合図で、徐々に離れていく。
「……そろそろ戻らねぇと、ヤバいな……」
「ま、待って!!」
もう一度、怜二の背中に腕を回して、その胸に顔を埋めた。
こんな質問、面と向かっては言えないから。
「あたしは、ちゃんと怜二の彼女、出来てる?」
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