【続】ギャップ的恋愛論
「………」
一瞬の沈黙のあと、あたしの体を引きはがしながら、なに言ってんだ?と戸惑ったように呟いた怜二。
「ダメ!見ちゃダメ!
あたし今、ものすごいヘン顔してるし。
このままで答えて……?」
あたしがしがみつく手に力を込めると、やがて抵抗するのを止めた。
「……はぁぁ…」
代わりに聞こえてくる、深いため息。
今度こそ呆れちゃった?
なんて面倒臭い女だって……
でも、あたしには、自信がないの。
今だに、自分が怜二の彼女であることが信じられないし。
口では『彼女なのに』なんて言ってるけれど、実際はそう言って怜二の反応を確かめてたり。
「あのさ…… 悠紀に何を吹き込まれたのか知んねぇけど、お前は俺の彼女なんだろ?
“ちゃんと”なんて言葉いらねぇよ……」
「だって……あたし、自信がない。
怜二の横に居る自信が……
別に美人でもなんでもないし、性格だって問題アリだし、スタイルだって…フガガガ…」
「はい、そこで終了。
ったく、黙って聞いてれば色々言いやがって……」
右手であたしの口を塞ぎながら、いつの間にか眼鏡をかけた怜二が怒ったように見下ろしてくる。
「俺だって自信なんかねぇよ。
お前、心の中真っ白だし、俺がお前を汚しちまうんじゃないかって、ろくに手も出せねぇ…あっ…!」
しまったって顔で慌てて口をつぐんだ怜二の耳が、だんだん赤く染まっていく。
???
手が……出せない……?
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