【続】ギャップ的恋愛論
「……それって…」
横を向いて今度は自分の口を塞いでる怜二の手に触れた。
途端にビクッとなる怜二の体。
手を出せないって……
「あたしに魅力がないから、手を出さなかったんじゃない、の……?」
ずっとそうだと思ってた。
一人暮らししてる家にも呼んでくれないし、ウチに誰も居ないからって誘っても来ないし……
てっきりそうだと。
彼女だという自信が持てないのは、その部分にも大きな原因があるくらい。
「ねぇ… 違うの……?」
教えて、本当のこと。
百戦練磨の怜二が、キスまでしかしてこない本当の理由を。
しばらく眉を寄せて黙っている怜二を見上げていると、ため息とともに再び眼鏡を外した怜二は、
「……違う…」
と、ひと言だけ呟いた。
「違うって…」
「だから、お前に魅力がないとか、そんなの全然違うって言ってんだよ」
「本当?あたし、ちゃんと女に見えてる?」
「女に見えないなら何だって言うんだよっ……
俺にそういう趣味はない」
「そ、そっか……」
なんだ…良かったぁぁぁ……!
拗ねたように頭を掻いてる怜二が可笑しくて、言われた言葉が嬉しくて、つい頬が緩んでしまう。
「……笑ってんじゃねぇよ…」
クスクス笑うあたしを横目でジロリと見た怜二は、何か思い付いたかのように、次の瞬間にはその表情をがらりと変えていた。
「なんなら今ここで、俺がどれだけ欲情してるか、証明してやろうか……?」
`