【続】ギャップ的恋愛論
このぐらいの時間になると、買い物帰りだろうOLやらの客が増えてくる。
それぞれブランドの紙袋を平均3コは手に下げて満足そうな女達。
そういや、まだ12月なのに、デパートには“冬物バーゲン開催中”の垂れ幕がでかでかと下がってたっけ?
セールで相当奮闘してきたのか、疲れたねぇ?なんて声があっちこっちから聞こえてくる。
それなのに、目はお気に入りの店員を探してキョロキョロと忙しそうで。
思わず、女って欲深けぇ…なんて思ってしまった。
「あ… 怜二くん」
そのうち、窓際に着いた客から声を掛けられた。
振り向くと、いつも会社帰りに寄ってくれるOLが2人で座っている。
「こんにちは。今日は買い物帰りですか?」
「うんそう。久しぶりに買い物したから疲れちゃった」
20代半ばだろう彼女達は、それでも満足そうに隣の椅子に置いてる戦利品に目をやりながら笑った。
俺がテーブル脇に立つと、物欲、性欲ともにちょうどピークに差し掛かっている頃だろう彼女達は、
「日曜日も怜二くん入ってたんだね?ちょっと得した気分♪」
なんて嬉しそうにこちらを見上げている。
俺も、「ありがとうございます」と少しだけ首を傾けながら、客向けの愛想笑いで対応した。
普段から作り笑いを浮かべているつもりだけど、周りから見ればそれは真顔に見えるらしく、こうしてたまに見せる愛想笑いのせいで、“微笑王子”なんてヘンなあだ名を付けられてしまった、俺。
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