【続】ギャップ的恋愛論
2人ともかなり綺麗な顔つきをしている彼女達は、
「ねぇねぇ、毎週日曜入ってるの?」
「何時までなの?」
「明日は、居る?」
などと、目の前のケーキをつつきながらゆったりとした口調で、だけど絶妙のタイミングで、俺を逃がすまいと次々に話題を振ってくる。
「だいたいは…」
「その日によって…」
「休みですよ…」
俺も曖昧に笑いながらそれに答えた。
だけど、例えハッキリこっちのシフトを告げようが、彼女達は決して“じゃあ、遊ぼ?”みたいな直接的な言葉は吐かない。
というより、こっちから言い出すのを待ってるんだろう。
なんつぅか、初歩の男女の駆け引きって感じ……
こういうのは、嫌いじゃない。
いや、むしろ俺好み。
無遠慮にワァワァ会話を繰り広げる女子高生とは大違いだ。
声は落ち着いていて、だけど俺を見上げる艶っぽい瞳は明らかに誘っていて−−−
少し前の俺なら、そのまま誘い文句を囁いていただろう。
でも、今は違う。
綺麗にメイクされた上目使いが、だんだん欝陶しい気さえしてくる。
「−−-…じゃあ、ごゆっくり」
最後にもう一度愛想笑いを浮かべて、俺は早々に身を翻した。
「あ……」
あからさまに残念そうなため息を背中に受けながら−−−
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