【続】ギャップ的恋愛論





乙葉はよく、『あたしなんて…』と自分を卑下した言い方をするけど、



スタイル・顔・声共に、両親のイイとこ取りをしている風貌は、



“オーナーの娘”というレッテル関係なしに男の独占欲を盛んにくすぐっていることを、アイツは気付いてないのだろうか……?





一歩間違えれば、多くの男を手玉に取れるような“小悪魔的要素”を存分に持ち合わせているのに。





………いや多分、





良い意味でも悪い意味でも、凌さんの手の中で、アイツはそういう部分を気付かないよう育てられたのだろう。





それは俺にとっては好都合だが、同時に、ハラハラさせられる部分でもある。





こういうのを“無知の脅威”とでも言えばいいのか……?





…あ……!思った傍からこれだ……





俺が見ているのをまだ気付いていない乙葉は、窓越しに目が合った店員に、無邪気に小首をかしげて頬笑み返している。




その店員の笑顔の裏に見え隠れする腹黒い欲望も知らずに。





アイツはこの店に居る俺を心配だと言うけど、俺からしたら、大量のネギ(出世欲・独占欲・無知)を背負って店にやって来てるような鴨(乙葉)の方が、数十倍心配だ。





まあ、そういう俺も、乙葉への独占欲に駆りたてられてる男の一人なんだけどな……







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