【続】ギャップ的恋愛論





「………」





………あ、あれ…?






てっきり何か言われるのかと思ったのに、ある一点を凝視している郷野さんに気づく。






話しかけといて、なんなわけ……?






「……あのぉ…」



「その手、どうしたの?」





あたしが戸惑いがちに声をかけると、カップに添えたあたしの手を指差しながら、そう言って郷野さんは眉をしかめた。






…あっっ!





「え、あ、いや……」






恥ずかしくて慌てて引っ込めた手は、すでにバッチリ見られちゃったわけで。






「……実は今、料理を習ってるんです…」






あたしは観念して理由を打ち明けた。






「へぇぇ、凌さんに料理をねぇ…
やっぱりスパルタ?」



「どうかな、スパルタな気もするけど、あたしが不器用過ぎるから」



「姫が不器用?
ってことは、姫と怜二って不器用者同士?」



「えっ? 怜二は不器用なんかじゃないですよ?」






真顔で思いもよらないことを言う郷野さんに驚いた。






怜二が不器用なら、あたしなんてサル以下になっちゃうよ……






「いやいやアイツは不器用だって。
ことに姫のこ…」



「誰が不器用だって?」







いきなり郷野さんの言葉を遮って聞こえてきた声に横を見上げると、不機嫌オーラ全開の怜二の姿がそこに……






いつの間にっ!?






「あはっ、じゃあ姫、ごゆっくり〜」





あたしが怯んでる隙を付いて、そう言い残すと郷野さんはそそくさと身を翻して行ってしまった。







ひ、卑怯者〜〜〜!!







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