【続】ギャップ的恋愛論
嫌が応でも気まずい雰囲気が漂う中、
……ひっ…!?
いきなり横から伸びてきた怜二の手に、肩がすくみ上がる。
そのまま怜二は、無言でカウンターを拭き始めたんだけど。
……さっきも拭いたのに?
もちろん、そんなことは言えないわけで。
沈黙に耐えられなくなったあたしは、カップへと手を伸ばした。
「……なに、それ」
あああっ、しまったぁぁ!
直後、不意に掛けられた声に気づいた時には、自分の無惨な手に再び容赦ない視線が突き刺さっていて……
「いやっ、あのっ、これはその……」
「手、貸して」
「ム、ムリ!」
こんなみっともない手見せれるわけないよっ!
焦ってカウンターの下へと潜り込ませた手を、怜二の手が素早く追い掛けてくる。
逃げる、追う、逃げる……
「……あっ…」
所詮狭いスペース。
呆気なく捕まったあたしの手は、みるみるうちに怜二の目の高さまで吊り上げられてしまった。
「……ひっでぇ」
そんなことわかってます!
自分でもそう思います!
真っ赤に染まった顔で恨みがましい視線を向けるあたしに気づいているのかいないのか、怜二は絆創膏だらけの手を食い入るように眺めている。
こんなことなら手袋外すんじゃなかったよ……トホホ。
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