【続】ギャップ的恋愛論
ま、驚くのもムリないか。
だって俺ん家は……
「っていうか!!こっからウチまで徒歩5分なんですけどっ!?」
………だからな。
俺も最初乙葉を家まで送った時は、そのあまりの近さにマジでビビったし。
「ねぇねぇ、冗談……じゃないよね?」
マンションの駐輪場にチャリを停める俺の袖を引っ張りながら、半信半疑って声で乙葉が問い掛けてくる。
それにクスッと笑いつつ、俺は乙葉の手をギュッと握りしめて歩き出した。
この時、不思議と邪(よこしま)な気持ちが沸いて来ることはなかった。
……ぷっ…
あんなアホ面見せられたら、さすがにな。
「……なんで笑うの?やっぱり冗談なんでしょ!」
「違うって。ガチでこの上だから」
「ホントにぃ?あたしココのコンビニ、なにげに行きつけなんだけど。会ったことないよね?」
エレベーターに乗り込んでも、まだ納得いかないって顔で頬を膨らませている。
なんだろうな、妙に穏やかな気分だ。
「………そいつは不思議だな」
俺がその膨れっ面をツンと突くと、乙葉はますますムムムと頬を膨らませた。
ははっ…… 面白れぇ奴。
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