後向きの向日葵
兄貴分肌の穂積さんはしばしば、身近なところでの、相談活動に身を乗り出していた。
もともと穂積さんのこの姿勢に惹かれて、彼と恋に落ちた雨ちゃんの側もより刺激を受けて、その内にそれの真似事を始めるようになっていた。
やがて、雨ちゃんの自宅には頻繁に、人が出入りするようになっていく。
面倒見の良さに惹かれて、二人のところへ、集まる人数は増えていった。
時折、私が顔を出す時でさえ、毎回、誰かしらがやって来るし、電話もよくかかって来ていた。
去る者を追いはしなかったが、来る者はとことん拒まなかったのだ。

どこからが公でどこからが、私の範囲であったのだろう?
特に日中を一人で過ごしていた、雨ちゃんの方が窓口を拡大してゆき、ついには連日、夕方以降に顔を出す特定のメンバーが作られた。
穂積さんは日勤の、派遣社員だった。今にして思えばその時間帯とは、穂積さんの帰宅時間でもあったわけだ。

その矢先、雨ちゃんは、私にこう漏らすようになった。
「私が友達の話をするとね、哲也さんが嫉妬するの。」
「俺も、俺の、馴染みの友達と集まりたいなぁって・・・。」
それで、最近は穂積さんの男友達をメインで集めた、飲み会を開催するようになっているらしい。
その飲み会にはたった一度、私も参加することになった。
その際に思わぬ、事件が起こる。
いや、飲み会の後になって、そうなっていくのだった。
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