後向きの向日葵
そうさせたのは、ソラだった。
同期だった透井ソラが、失恋をしたのである。
しかも、おっとりとしていて何も言わなさそうな、一見して弱弱しい彼女が恋人に向かって、灸を吸えた上での失恋でもあったというものだから、彩子は持ち前のプライドも忘れて、半ば衝動的に興味を強めてしまったのである。
彩子にとってソラとは何というか、一言でいえば、定形外な人物に他ならなかった。
そこがとかく大嫌いでもあったし、同時に憎み切れずにもいた。
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