後向きの向日葵

ソラの失恋

「もう、そんなのは自分で何とかしてよ。」
「それよりも、後２年くらいしたところで俺、丁度、結婚したくなると思うんだ。」
「今の仕事はもう何ていうかさ、続けなくていいじゃないの。」
「アルバイトやパートでもして、俺の適齢期を待っていてよ。ね。ね。」
その瞬間、私はキレた。
そういうことではないのだ！
今、目の前にいる彼とつき合って、早１年余り・・・。
私たち二人の勤める会社スカイバードでは、もはや、私たちの関係を知らない者の方が少ない。
お陰で最近は私の周りで、嫌味の嵐だったのだから。
いくら恋愛を二の次に頑張っても、毎日、
「透井くんは恋に忙しくって、仕事に身入りせんだろ？」
「透井さんってば、恋愛中だからぁ。」
と、私は、仕事に恋愛を掛け合わされるのだ。

当初、私たちの関係に悪意を持って、告げ口をした者はいなかった。
しかし、悪意を伴わなかったがためにむしろ、あっという間に広まったのも事実だ。
そして、それを最も左右するところにいたのが、彼氏にあたるこの尾木君だったのだ。
それに気がつかずにいられたら、私は、お幸せな人間でいられたわけなのだ。
ただ、さすがに１年も身近に接していれば、ごく自然に、気がついてしまうこともあるものだ。
今、私は、彼とつき合ったことを酷く後悔していた。
私には、「俺は、君の件には関係ない。」としきりに言いながら、今また、彼は、彼にもあての無い２年後、彼の花嫁候補ではあってくれと言っていた。